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【声明】「G6」と欧州連合の駐日大使による書簡についての報道を受けて

2023.03.20

お知らせ

2023月 3月 20日

「G6」と欧州連合の駐日大使による書簡についての

報道を受けて

 

一般社団法人 性的指向および性自認等により
困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会(略称:LGBT法連合会)
代表理事・理事一同
(団体 URL:https://lgbtetc.jp/)

2023年3月16日、G7の日本以外の各国および欧州連合(EU)駐日大使により、性的マイノリティを法的に差別から保護する法整備を促す書簡の存在が報じられた。同報道には「結果的に受け取っていない」との政府高官の声が掲載されていたものの、3月16日に松野官房長官は「明らかにすることを差し控える」と述べたと報じられたほか、3月17日の参議院外交防衛委員会でも、林外務大臣が、受け取ったかは明らかにしないとの方針を答弁した。書簡の趣旨は、この間の国際社会、海外の要人らによるメッセージと同じである。書簡の現在の状況はどうあれ、複数の外交筋が書簡の存在自体は認めているとの報道、さらに「先進国」から「先進国」への書簡が極めて異例であることにも鑑み、日本政府が、国際社会のメッセージを重く受け止め、対応すべき局面を迎えていることは、疑いようもないと当会は強く指摘する。

前首相秘書官の差別発言に関連したインタビュー記事の中で、アメリカのジェシカ・スターン特使は、当事者が世界中で差別や暴力を受けていると指摘した上で、「コミュニティーの一部が疎外され、排除されるときはいつだって、私たち全員が傷つくのです。」と述べている。加えて、アメリカ議会の性的マイノリティに関する議員連盟の共同議長であるマーク・タカノ議員は、インタビュー記事の中で前秘書官の発言を「言語道断であり恥ずべき発言」であると述べている。加えて同議員は、秘書官が更迭されても解雇されたわけではなく、将来の政権で働くことができると指摘している。書簡を送った駐日大使の一人が、親族に当事者がいると明らかにしていたことも過日報じられていたが、各国政府の要人本人、もしくはその身近な人びとにおける当事者の存在を看過することは大きな国際問題につながるものである。前秘書官の差別発言について、日本政府が国際社会へ何もメッセージを発していないことへの厳しい視線は、今も注がれ続けていることを指摘する。

この間、ラーム・エマニュエル駐日アメリカ大使やスターン特使は、インタビューや記者会見を通じて、日本の性的指向・性自認に関する法整備が、明確に反差別を規定し、差別からの法的保護を保障するものであるべきとのメッセージを発してきている。他の駐日大使からも、ここ数年、折に触れてこのようなメッセージは発せられ続けてきた。日本の外務省のWebサイトに記載のあるように、国際社会からの各国の人権状況への関心は、内政干渉と捉えるべきものではなく、かつ、「文化や伝統、政治経済体制、社会経済的発展段階の如何にかかわらず、人権は尊重されるべきものであり、その擁護は全ての国家の最も基本的な責務であること」とされている。まして日本政府は、G7の一員として、基本的価値観の共有が求められる立場であり、対応の遅れは釈明のしようのないものとなりつつある。

当会は、2015年の発足以来、国内の当事者の状況について繰り返し愚直に訴え、法整備の必要性を強調し続けてきたが、この間、国際社会からの声が相次いでいることを受け、改めてその意を強くするものである。G7開催までに、国際社会の一員として、またG7の一員として、課せられた最低限の責務としての、差別の禁止を含む法整備の必要性を、当会は最大限に強調し、その成立に向けて全力で取り組む所存である。

以上

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