2023月 3月 16日
トランスジェンダー女性に対するデマへの
毅然とした対応についての声明
一般社団法人 性的指向および性自認等により
困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会(略称:LGBT法連合会)
代表理事・理事一同
(団体 URL:https://lgbtetc.jp/)
ここ数年間、トランスジェンダー女性を公共空間での性暴力と関連づけ、性暴力加害者であるかのように危険視、中傷するデマが後を絶たない。当会は、かねてからこのようなデマは、トランスジェンダー女性に対する差別を助長するものであると指摘してきた。しかるに、昨今、法整備の機運が盛り上がる中で、このようなデマが、極めて広範囲にわたって流布されるようになってきたことは看過できない。当会は、このようなデマに毅然と対処することをまずもって表明するとともに、デマが当事者の生活を文字通り脅かしている実態を踏まえ、想像に基づく観念的、抽象的な議論を排し、これまでに司法の場などで積み上げられてきた、冷静な法的整理を踏まえた議論が必要であることを強調する。
デマの中には、性的指向・性自認に関連する法整備が進むと公衆浴場等の利用ルールが変わるなどと吹聴し、社会に混乱をもたらすかのように主張、不安を煽るものも散見される。しかし、全国約60の自治体では、すでに性的指向・性自認による差別を禁止する条例が施行されている。こうした自治体で、公衆浴場等の利用ルールが変わった、あるいは社会が混乱したという事実は報告されていない。にもかかわらず、こうした事実を無視し、徒に人びとの不安を煽る議論は、社会に分断をもたらし、性自認による差別と憎悪を助長するものであり、断じて容認することはできない。
そもそも、性的指向・性自認に関する困難は、その大部分が社会における家父長的なジェンダー規範と密接に結びつくものである。その意味で、性的マイノリティは、構造的に家父長的なジェンダー規範による被害を受けやすい立場にあり、このような知見はジェンダー研究をはじめとした学術分野において、確立されたものであると受け止めている。責任ある立場に就いている人びとが、このような基本的な知見を無視し、ジェンダーに関する暴力の「加害者」であるかのように煽り立てる言説は到底許されるものではない。こうした行為は自らに課せられた責任の放棄に等しいことを厳しく指摘する。
当会は、差別を禁止する法制度の確立に向け、デマに怯まず、些かも歩みを止めることなく、決然と進むことを改めてここに表明する。同時に、デマに傷つく当事者をはじめ、人権尊重とジェンダー平等を求める広範な人々と連帯し、総力をあげて社会・生活状況の改善に取り組みを進めることを決意する。
以上