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【声明】性的指向・性自認を「治療」可能な「病理」と位置付ける言説について

2023.05.02

お知らせ

2023月 5月 2日

性的指向・性自認を「治療」可能な「病理」と位置付ける言説について

 

一般社団法人 性的指向および性自認等により
困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会(略称:LGBT法連合会)
代表理事・理事一同
(団体 URL:https://lgbtetc.jp/)

神道政治連盟埼玉県本部が、2022年4月に「LGBTQは何れも、精神疾患であることが明らかになりつつある」などと記した文書を配布していたことが過日報じられた。報道によれば、この文書は神道政治連盟中央本部の幹部が作成したとされている。なお、神道政治連盟は、2023年4月の統一地方選挙において「公約書」を出していたことも報じられている。2022年6月に神道政治連盟で配布された冊子における、統一教会関係団体の機関紙「世界日報」の転載記事と、現在の国会における法整備への反対論が、そのトピックをほぼ同じくしていることも含め、当会は一連の動向に強い懸念を持つとともに、注意喚起と最大限の遺憾の意を表明する。

性的マイノリティを精神疾患と位置付けることについて、国連人権高等弁務官事務所の、性的指向・性自認による差別と暴力からの保護についての独立専門家の報告に重要な記載が見られる。報告には「人のアイデンティティを病理化し、消し去り、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランス、多様なジェンダーの人びとを否定し、自己嫌悪を誘発する試みは、彼らの身体的、心理的完全性と幸福に深刻な結果をもたらす」と記されており、100カ国8000人を対象とした調査において、これらの行為を受けたと回答した940人のうち、98%が、性的指向や性自認の「治療」を試みる「転向療法」を受けたことによる深刻な被害を語ったとしている。また同報告には、国連の反拷問機構は、「転向療法」が拷問や、残酷で、非人道的、または屈辱的な扱いに相当し得る、と結論づけたことも掲載されている。

このように、「転向療法」につながりかねない、性的指向や性自認が「治療可能」な「病理」であるとの位置付けは、「さまざまな意見」や「多様な議論」などといった言葉では片付けられない、極めて重大な問題を含んでいることを指摘する。

法整備に向けた議論においては、学術的な見地はもとより、G7を前に、国際的な議論も適切に参照することが求められる。既に今年のG7外務大臣コミュニケ、気候・エネルギー・環境大臣コミュニケにおいて、昨年のG7エルマウサミット首脳コミュニケと同趣旨の内容が示され、しかも各政策分野における性的指向や性自認による差別からの保護や平等参加の重要性を更に強調していることからもそれは明らかである。性的指向・性自認による差別から保護するための法制度が、G7サミットまでに制定されるよう、当会は、引き続き取り組みを進めていく。

以上

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