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【声明】犯罪被害者給付金の同性パートナーへの適用に関する最高裁判決について

2024.04.01

リリース

2024年 4月 1日

犯罪被害者給付金の同性パートナーへの適用に関する
最高裁判決について

 

一般社団法人 性的指向および性自認等により
困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会(略称:LGBT法連合会)
理事一同
(団体 URL:https://lgbtetc.jp/)

 2024年3月26日、最高裁判所は、同性パートナーに対する犯罪被害者給付金の不支給取り消しを求めた訴えに対し、同性パートナーが「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」に該当しないとする下級審の判断を「該当し得ると解するのが相当である」として退け、下級審の判断に「明らかな法令違反がある」と判示した。これにより下級審判決を破棄し、名古屋高等裁判所に差し戻すこととした。
 当会はこの判決について、同性パートナーが「事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」に該当し得ると判断したことを評価するものである。

 下級審は、犯罪被害者給付金の支給対象者に係る規定(法5条1項1号)「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者」を、「事実婚関係は、婚姻の届出ができる関係であることが前提となっていると解することが自然であって」、「犯罪被害者と同性の者」はそれに該当しないと判断したが、最高裁はこれを是認できないとした。

 同規定は「犯罪被害者の死亡により精神的、経済的打撃を受けることが想定され、その早期の軽減等を図る必要性が高いと考えられる者を掲げたものと解され」、「そうした打撃を受け、その軽減等を図る必要性が高いと考えられる場合があることは、犯罪被害者と共同生活を営んでいた者が、犯罪被害者と異性であるか同性であるかによって直ちに異なるものとはいえない。」としている。
 なお、訴えのあった個別案件が事実婚に相当するかどうかについては、差し戻された高裁で判断されることとなる。

 今後、判決を受け、国や地方公共団体、企業も含めた各組織が、異性の事実婚パートナーを対象とする各種法令及び制度の規定・運用について、同性の事実婚パートナーを対象としていない場合は、その取扱いが適切かどうかを精査する必要が生じたものと受け止める。その際、法の下の平等の観点から、差別的取扱いを排していくべきであると当会は改めて強調する。
 今後とも当会は、各制度における平等な取り扱いに向け、差別撤廃を求める取り組みを続けていく。

以上

 

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