LGBT法連合会

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【声明】昨今の政策的動向について

2017.07.02

お知らせ

2017年7月2日

昨今の政策的動向について

性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連連合会
(略称:LGBT法連合会)
共同代表一同
(団体URL:https://lgbtetc.jp/)

第193回通常国会、東京都議会議員選挙などにおいて、いわゆる「LGBT」、性的指向や性自認に関する政策がさまざまな場面で議論され、取り組みが行われた。このような動向を前向きに評価したい。一方で丁寧な議論がなされるべき場面も指摘できるため、ここにこの間の動向を整理し私たちの見解を示すこととしたい。

第193回通常国会では、性的指向・性自認の差別をなくす法制定に向けた議論が必ずしも大きく進んだわけではないが、超党派で各種政策課題について議論がなされたことを、私たちは前向きに受け止めている。

他方で、刑法(性犯罪関係)の改正がなされ、性の有り様にかかわらないすべての人に開かれた法制となったことは一定の評価をしたい。課題は残るものの、私たちが「困難リスト」に掲載した性犯罪・性暴力事例の解決への一歩になったと受け止める。また、附帯決議において、「性的マイノリティ」への実質的な差別の禁止を求める決議がなされた点は積極的に評価できる。決議が求める、今後の行政の取り組みに期待したい。

改正児童福祉法及び児童虐待防止法等の附帯決議として、いわゆる児童施設に入所する「性的マイノリティ」の子どもの存在への対応について研究を進めると決議された。私たちの賛同団体の調査等も報じられ、社会的関心が高まったことによると受け止めており、政府は速やかに調査研究を実施すべきである。

これらの法改正や決議に係わった関係各位のご尽力に敬意を表する。

ただ、いずれの附帯決議も施策の対象が「性的マイノリティ」となっているが、当事者か否かにかかわらず、広く性的指向・性自認の困難について対象とすべきと指摘したい。また、当事者が自らの性のあり方を公表していない場合などにおいて、安易に「性的マイノリティ」であると特定し、二次被害を引き起こすことのないよう注意を喚起する。

他方、国会期間中には、総務省から住民票記載事項証明書の発行において、性別欄を省いたものを是認する通知が出され、公文書等の性別表記再考に繋がる動きとして、これを評価したい。全ての自治体における積極的な取り組みが待たれる。この他にも、取りまとめ作業が進められている「自殺総合対策大綱」をはじめ関係施策で性的指向や性自認について触れられているようだが、直接的に施策の目的と関係の薄い、既存の施策が記載される場合や、単なる啓発にとどまっている場合も多く、手放しで評価できるとは言い難い。今後、施策の精査と効果の検証、改善を求めていく。

都議会議員選挙では、さまざまな団体が性的指向・性自認に関するアンケートを実施し、有権者に資する情報提供を行った。まず、これらの努力に敬意を表したい。アンケート結果では、ほぼすべての主要政党および所属する多くの候補者が、性的指向・性自認の差別をなくす取り組みに前向きであることが明らかにされた。差別禁止の実質的な施策にも、否定的な姿勢はほとんど見られなかったと受け止めている。今後、2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向け、東京都・東京都議会が、差別がなく平等で多様性が尊重された社会環境づくりに、速やかに取り組むことを期待したい。

この間の積極的な取り組みや議論から、性的指向・性自認に関する差別をなくすための法制定の機運は着実に高まってきたと言えよう。ただ、積極的な機運の一方で、未だ差別的言動等、性的指向・性自認の困難の実態が報じられ続けている。さらに、報道を上回る広範囲で厳しい実態があることを、私たちは日々感じている。「LGBT法連合会」は、発足から2年が経過し、規約に基づく所定の手続き経て、6月25日に新体制が発足した。新体制においても、私たちは根強い偏見と差別を直視するとともに、これまで以上に性的指向・性自認に関する困難の有り様を具体的に提起し、真に実効性ある法制度の実現を求めていく。

以上

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