2022月7月4日
神道政治連盟国会議員懇談会による「冊子」配布に対する抗議声明
一般社団法人 性的指向および性自認等により
困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会(略称:LGBT法連合会)
代表理事・理事一同
(団体 URL:https://lgbtetc.jp/)
2022年6月13日、神道政治連盟国会議員懇談会は、同性愛について「回復治療の効果が期待できる」「依存症」や「精神障害」であり、「LGBTから抜け出すこと」などを論じた、事実誤認甚だしい差別言説が記載された論考を冊子として配布し、司会の議員から「読んで欲しい」と呼びかけたと報じられている。冊子の内容は、どのような党派の主張であれ、断じて容認できないものであり、当会としても最も強い抗議の意を表する。
性的指向や性自認が、あたかも自分の意思で選択できるかのような言説や、医学的に治療可能であるかのような主張は、半世紀以上に亘り、世界の当事者コミュニティを苦しめてきたものであり、歴史的誤謬として記憶に刻まれている。今日、こうした言説自体が人権侵害であるのみならず、極めて非科学的な事実誤認であることは、科学的にも確立した知見である。
ましてや、このような人権を蹂躙した非科学的な言説をもとに、政策を検討、議論することなど決して許されない。また、こうした言説が多様性に資するなどといった一部主張には、いささかも与することはできないことを改めて強く表明する。立法府をはじめ、あらゆる分野における多様性に関する議論は、人権の尊重を大前提としてなされるべきで、この認識は国際的にも共有されている。
どのような言説であれ、性的指向や性自認による差別によって困難を抱える当事者を排除するものは容認できないが、今回の言説は、その中でも最も筆舌に尽くし難い、目を覆わんばかりの差別そのものであり、当事者に与える悪影響は計り知れない。当会は、このような言説の政策への影響を厳しく監視するとともに、今回露わになった根深い差別に対抗する決意を改めて表明する。このような状況の改善にこそ、差別禁止法が必要であるとの意を新たにし、当事者の尊厳と生活を守るべく全力で運動を展開していく所存である。
以上