LGBT法連合会

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【声明】「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 持続可能性に配慮した調達コード」における性的指向・性自認に関する規定について

2017.04.13

お知らせ

2017年4月13日

「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 持続可能性に配慮した調達コード」における性的指向・性自認に関する規定について

性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連連合会
(略称:LGBT法連合会)
共同代表一同
(団体URL:https://lgbtetc.jp/)

2017年3月24日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、第19回理事会において、組織委員会内の持続可能な調達ワーキンググループにて検討が進められてきた「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 持続可能性に配慮した調達コード」(以下「調達コード」という)を承認した。調達コードは「組織委員会が調達する物品・サービス及びライセンス商品の全てを対象」にするとともに、組織委員会が「サプライヤー及びライセンシーに対し、調達物品等の製造・流通等に関して、調達コードを遵守することを求め」るとともに、「サプライチェーンも調達コードを遵守するように働きかけることを求める」としている。調達コードには私たちが掲げてきた性的指向・性自認による「差別・ハラスメントの禁止」がオリンピック憲章の理念の下に盛り込まれており、積極的に評価できる内容となっている。

この調達コードにおける性的指向・性自認に関する記載は、(1)サプライヤー等の調達物品等の製造・流通等において性的指向・性自認等の差別・ハラスメントの禁止、(2)性的少数者(LGBT等)等の権利を他の人びとと同様に尊重し、それぞれの特性に応じたプライバシー保護への配慮をしつつ、経済的・社会的権利を享受するための支援へ配慮、(3)サプライヤー等が調達物品等の製造・流通等に従事する労働者について、性的指向・性自認等による雇用や賃金、労働時間その他労働条件の面での差別の禁止、である。この他、国際的な人権に関する諸条約、基準の順守も求めている。理事会の別添資料によれば、これらの施策は「ネガティブな影響の防止」と位置付けられており、「法令違反等の不適切な事案の防止(マイナスを打ち消す)」ものと記されている。

私たちはこれまで、まさに性的指向・性自認に関する就職場面や職場、民間サービス提供時等をはじめとする差別的取扱い、心ない言葉の投げかけや無視、仲間外れといったいじめやハラスメント、これらの結果として引き起こされる自死などの「ネガティブな影響」を未然に防ぎ、性的指向・性自認によってさまざまな権利の享受が異なることのないよう、いわゆる「LGBT差別禁止法」の制定を求めてきた。その観点から見ても、組織委員会の調達コードは私たちと方向を同じくするものであり、自社内のみならず広く調達先にも遵守の働きかけを求める点でも、積極的に評価できる内容である。ただ、プライバシー保護や支援については、他の項目と異なり対象が「性的少数者」されていることから、カミングアウトの有無や当事者か否かに関わらず、「性的少数者」と認識されることによる差別や困難等も含め、十分な対応がなされるよう注意を喚起したい。同時に、この調達コードが着実に遵守されるよう引き続き取り組みを求めていきたい。

「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」を迎えるにあたり、この調達コードが、関係する多くの企業に対して、性的指向・性自認に関する差別やハラスメント禁止の取り組みを促すことが期待される。さらに、性的指向・性自認に関する困難の特性に基づいたプライバシー配慮の徹底などを通じて、いわゆる「アウティング(他人のセクシュアリティを本人の同意なしに暴露する)」をなくすことに資することも期待される。

先般、私たちが声明において取り上げた人事院規則10−10も含め、日本社会において着実に、性的指向・性自認に関する差別やハラスメントをなくすための大きな一歩を踏み出しつつある。一方で、この調達コードの対象とならない企業・団体、あるいは地方自治体において、性的指向・性自認に関する差別やハラスメントによって、ネガティブな影響が野放しにされる、他の人びとと異なる権利状況に置かれる、などといったことがあってはならない。私たちは立法府に対して、社会のあらゆる分野において実効性のある、差別をなくすための法の制定を引き続き求めていく。

以上

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