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「セクシュアル・ハラスメント防止指針改正」に対する声明

2016.06.27

リリース

セクハラ指針に対する声明自由民主党の性的指向・性自認に関する「政府への要望」を受けたいわゆる「セクシュアル・ハラスメント防止指針」の「改正」に対する声明

 

性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連連合会(略称:LGBT法連合会)
共同代表一同

【現状】
6月27日午後に開催される厚生労働省の労働政策審議会雇用均等分科会において、いわゆる「セクシュアル・ハラスメント防止指針」(以下「セクハラ防止指針」という)の改正が決定される予定である。この中で性的指向や性自認に関する対応も予定されているが、今回の改正案の元となった自由民主党の「政府への要望」(別紙資料1参照)からは大きくかけ離れた内容となっている。

【自由民主党の「政府への要望」】
自由民主党の「政府への要望」の中で「セクハラ防止指針」の改正を謳った項目第12は、「性的指向・性自認に関するいじめ・嫌がらせ等であっても同条および同指針におけるセクシュアルハラスメントに該当する」とし、その趣旨を「セクハラ防止指針」に明示的に記載するというものであった。この趣旨に沿う改正が叶えば、例えば「レズは気持ち悪い」「ホモは人間としてどこか足りない」といった発言や、オトコオンナと言って嘲笑し職場で無視するといった行動が防止措置の対象となる。すなわち、全ての企業等が具体的にこうした言動をなくす取り組みを進め、極めて多くの当事者が職場で日常的に直面している困難の解消に向けた取り組みが、大きく進むことが期待されていたのである。私たちとしても自由民主党の「政府への要望」の中でも特に重要な項目として受け止め、最も期待を寄せた項目であった。

【厚生労働省の「セクハラ防止指針改正案」】
しかしながら5月25日に労働政策審議会雇用均等分科会に資料として提出され、今般厚生労働省がパブリックコメントを募集している「セクハラ防止指針改正案」(別紙資料2参照)は上記の自由民主党の案とかけ離れたものだった。厚生労働省の同改正案が意味するところは、例えば、卑猥な言動を行う、腰や胸を触るなど、従来からセクハラとされているものは、被害者がいわゆる「LGBT当事者」であっても指針に基づく規制の対象となるというものである。もちろん、従来から、いわゆる「LGBT当事者」対するセクハラであれ、誰に対するセクハラであれ、それは男女雇用機会均等法の規制対象であり、この改正案は何ら新たな施策を企業などに義務づけるものではない。端的に言えば何も変わらない、変えない改正である。この点について当連合会が厚生労働省に確認したところ、パブリックコメントの内容に関わらず、自由民主党の要望に沿った改正は行わず、審議会に提出された原案通りの改正となる予定であることが明らかとなった。

【「セクハラ防止指針改正案」に対する私たちの受け止めと考え】
まず、「セクハラ防止指針改正案」が、自由民主党の「政府への要望」通りの改正とならず、いわば骨抜きとなってしまったことに対して強い憤りを感じざるを得ない。当連合会は、自由民主党の「政府への要望」に沿った「セクハラ防止指針」の改正をすべきとの趣旨をパブリックコメントとして提出することを広く呼びかけたが、事実上こうしたコメントが省みられない対応となることは、パブリックコメントの趣旨をないがしろにしていると批判せざるを得ない。

また、厚生労働省が自由民主党の「要望」どおりの改正をしないと判明したにも関わらず、自由民主党は現時点で、その「要望」の実現に向けた追加的な対応について特に言及しておらず、期待が大きかった分、落胆を禁じ得ない。自由民主党は、事前に所管省庁と要望事項についてすり合わせ、実現が見込まれるものを「政府への要望」として発表したと聞く。政権与党の座にある自由民主党の対応として期待の声が高まっていたが、最も重要ともいえる本項目の実現が叶わないとすれば、他の32項目についてもその実現可能性に懸念を持たざるを得ない。この「政府への要望」は5月24日に自由民主党総務会で了承されており、自由民主党全体で組織決定された方針であると承知している。今回の結果に対する自由民主党の見解を待ちたい。

一方、今回の結果を受けてLGBT法連合会は、「性的指向や性自認に関する法整備の議論に対するLGBT法連合会の見解」(5月27日発表)でも触れた通り、性的指向や性自認に関する具体的な施策を、法整備ではなく、行政の運用に委ねることについては、施策の実効性の観点から、更に強く懸念するものである。そのため、具体策も含めた法整備を、超党派で、立法府全体の意思として行う必要性を改めて強く指摘したい。当事者の立場に立った施策の実行のため、私たち当事者の声を国会および政府が真摯に受け止めていただくことを期待する。
以上

問い合わせ先:
〒113-0033 東京都文京区本郷1-35-28-302 オフィスパープル
共生ネット事務所内 LGBT法連合会 担当:綱島
TEL:050-3736-7397 E-Mail:info@lgbtetc.jp

【参考】
○今回の厚生労働省の改正によってもセクハラ防止指針の対象とならない可能性があると私たちが考える言動(例)
(なお、こうした言動であっても、背景に性的な(卑猥な、嫌らしい)文脈があれば、これまで通りセクハラ防止指針の対象になることはLGBT法連合会として厚生労働省に確認している。)

・「レズは気持ち悪い、異常だ」などと発言する
・「レズがうつりそうだ」などと言って避ける
・「レズは不幸になるべきだ」と言っていじめる
・「ホモは頭がおかしい」などと発言する
・「ホモは人間としてどこか足りない」などと発言する
・「ホモは殴られて当然」と言って叩こうとする
・「おまえはオカマか?」などと発言する
・「オトコオンナ」と言って嘲笑する
・「同性愛は生き物として変だ」と言って病院の受診を勧める
・「トランスって頭のネジが緩んでいる人が多いよね」と言う
・「〇〇さんは女の子になったほうがいいんじゃない?」と言う

セクハラ指針ハラスメント

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