2019年5月28日
SOGIハラ・アウティング対策の法制化に向けた国会の附帯決議を歓迎する声明
〜SOGIハラ・アウティング対策がパワーハラスメント対策の一環に〜
性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する
法整備のための全国連合会(略称:LGBT 法連合会)
共同代表一同
(団体 URL:https://lgbtetc.jp/)
2019年5月28日、参議院厚生労働委員会はパワーハラスメント対策を盛り込んだ、労働施策総合推進法等の一部改正案を賛成多数で可決した。近く本会議で可決成立される見込みである。先だっての衆議院の厚生労働委員会、本日の参議院厚生労働委員会それぞれにおいては、性的指向・性自認に関するハラスメント及び性的指向・性自認の望まぬ暴露であるいわゆるアウティングも対象になり得ること、そのためアウティングを念頭においたプライバシー保護を講ずること、をパワーハラスメント対策指針に明記することを、与野党全会一致によって決議した。これにより、「性的指向・性自認に関するハラスメント及び性的指向・性自認の望まぬ暴露であるいわゆるアウティング」の防止は、パワーハラスメント防止対策の一環として各企業に義務付けられる方向と考えられ、大きな前進として評価できる。
今回可決した労働施策総合推進法案は、パワーハラスメント防止対策措置を事業主に義務付けるとともに、都道府県労働局による法の履行確保等を規定している。また、国の施策にハラスメント対策を明記することとしている。衆議院、参議院の附帯決議を踏まえれば、性的指向・性自認に関するハラスメント(SOGIハラ)と、性的指向・性自認の望まぬ暴露(いわゆるアウティング)は、パワーハラスメントの一つとして位置づけられると解することができ、対策義務に入る方向であると考えられる。この法の施行期日は、法の公布から1年を超えない範囲内とされており、中小事業主は3年を超えない範囲内とされている。
衆議院、参議院の議論では、与野党各会派から、SOGIハラやアウティング対策を進めるべきであるとの意見が出された。この内容を盛り込んだ付帯決議が与野党全員賛成の全会一致という形で、国会の決議に実を結んだことは大きな一歩である。LGBT法連合会としても、求める施策の重要な一つであるハラスメント対策の実現に向け、この間精力的な働きかけを行ったが、日本全国の事業主に対する義務付けの方向で結実したことについて、関係各位の尽力を讃え、喜びを分かち合いたい。他方、具体的な対策の内容については、今後、厚生労働省の審議会の議論に委ねられることとなり、注視していく必要がある。特に、就職活動中の学生や、インターンシップ生、実習生等に対して、どのような対策が行われるかが注目されるものである。
LGBT法連合会は、1日も早いSOGIハラやアウティングの根絶に向け、今後も働きかけを強めていく。また、今回のハラスメント対策の対象とならない、労働以外の分野におけるハラスメントや、差別的な職場異動や退職勧奨、解雇などの、いわゆる差別的取扱いへの対策に向けて、領域を問わない差別禁止法の制定を引き続き求めていく。
以上
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