LGBT法連合会

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東京都条例 「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念実現のための条例」について

2018.10.05

お知らせリリース

性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会
(略称:LGBT法連合会)
共同代表一同
(団体URL:https://lgbtetc.jp/)

2018年10月5日(金)に東京都議会本会議において「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念実現のための条例」(以下、本条例という)案が成立した。東京都が都道府県として初めて「性的指向・性自認を理由とする差別禁止」を明確に規定した条例を整備したことを高く評価する。

本条例はその第1条の条例の目的において「いかなる種類の差別も許されない」とし、また、同2条においては人権尊重に関する取り組みを推進することを都の責務として規定した。第3条の条例の趣旨においては性自認及び性的指向の差別解消並びに啓発等の推進が規定されていること、第4条において「都、都民及び事業者は、性自認及び性的指向を理由とする不当な差別的取扱いをしてはならない」と「差別禁止」が明記された。第5条では差別解消及び啓発等の推進を図るため、基本計画を定め、その過程においては都民等から意見を聴くものとしている。

当会は本条例案について18年5月15日、同年6月8日の声明に差別禁止を規定すべき等の見解を表明していた。「差別禁止」を求めるパブリックコメントに応える形で「差別禁止」が明記されたことにより、実効的な条例となったことを高く評価する。また、不当な差別の解消や啓発等推進を実現するために差別禁止規定を加えたとの旨、答弁がなされていた点も重要である。
一方で、差別を受けた人の救済や回復につながる施策が条例には記載されておらず、その点では実効性が不明瞭であるとの懸念が残る。具体的な施策内容については都民等から意見を聴き、基本計画を定めるものとしているが、当事者参画がなされるのか、また、どのように具体的かつ実効性のある取り組みが担保されるのか、注視していく。

東京オリンピック・パラリンピック組織委員会および各種団体が「差別禁止」を掲げている中で、東京都が「いかなる種類の差別も許されない」と宣言したことは東京都民や都内事業所はもとより、社会全体ひいては世界に対しても大きなメッセージとなる。性的指向や性自認等によって困難に直面している人々にとって大きく勇気づけられるものであり、オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現につながる。
今後さらに差別のない社会の実現に向けて、他の道府県にも本条例に倣った諸制度の整備を期待するとともに、本会は全国各地の性的指向及び性自認に基づく困難を抱える当事者や家族や友人などの関係者とともに、引き続き国による法整備に向けた活動を展開していく。

以上

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