2018年8月2日
衆議院議員杉田水脈氏の論考に対する
杉田氏および自由民主党の対応について
性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する
法整備のための全国連合会 (略称:LGBT法連合会)
共同代表一同 (団体URL:https://lgbtetc.jp/)
2018年8月2日、自由民主党は所属する衆議院議員の杉田水脈氏(以下、杉田氏という)が新潮45(2018年8月号)において、寄稿した「『LGBT』支援の度が過ぎる」(以下、本件論文という)に関して、「問題への理解不足と関係者への配慮を欠いた表現」があることから、「十分に注意するよう指導した」旨を発表した。報道によればこの発表は、当事者等からの声明や、LGBT法連合会も参加した抗議活動を受けてのものであると、自由民主党本部は述べているようである。私たちは自由民主党からこのような見解が出されたことに対して一定の評価をするものの、どのような内容に対してどのように指導したのかが不明瞭であるとともに、報じられている杉田氏が発表したコメント内容から「指導」を受け止めた上で撤回も含めた対応を検討しているか等も明らかではないため、不十分であると言わざるを得ない。そのため、7月23日の当会の抗議声明で求めているように、自由民主党に対して引き続き厳正な対応を求める。
前回の抗議声明でも指摘しているように、本件論文は、全体として性的指向・性自認に関する差別はないかのような議論や、生産性を引き合いに出した議論などを開陳しており、事実認識の正確性に欠けるとともに、憲法の保障する人権を省みない極めて遺憾な内容であった。今後も正確性に欠け人権を省みない持論を維持したまま、国会議員活動を継続していくということであれば、不安と恐怖を抱かざるをえず、看過することができない。
また、他の議員からもこの課題に関する差別的な認識が示されたと報じられているようであるが、法務省が性的指向に関する啓発を開始してから約15年、自由民主党が党の方針を策定してから2年以上経過している。LGBT法連合会としては、多くの当事者が悲しみ、辛い状況に二度と置かれることのないよう、「差別をしてはならない」と謳う実効性のある法整備なしには周知すらも進まない、という限界があることを強く指摘するものである。立法府の一日も早い対応をこれまで以上に強く求める。
以上