LGBT法連合会

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【声明】国賓の同性パートナーに関する発言について

2017.12.01

お知らせ

以下声明文を発表いたしましたのでお知らせいたします。


 

国賓の同性パートナーに関する発言について

 

性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会(略称:LGBT法連合会)共同代表一同

(団体 URL :https://lgbtetc.jp/)

11月23日の岐阜県岐阜市内で行われた自由民主党の党支部パーティーにおいて、同党総務会長の竹下亘氏は、国賓が宮中晩餐会に出席する際にそのパートナーが同性だった場合には、パートナーの出席に反対であると述べた。私たちは、極めて影響力の強い公人がこのような発言を行うことは、国際社会における日本の立場に大きな影響を及ぼしかねないことを懸念し、公人の性的指向に関する差別的とも言える発言に対して遺憾の意を表明する。また、竹下氏がその後反省の意を表明したことを受け止め、総務大臣の発言や、総理大臣、外務大臣の関連する国会答弁に一定の評価をする一方、再発防止に向け、法整備も含めた迅速な対応を求める。

性的指向・性自認に関する差別の払拭については、2015年に国連12機関が暴力と差別の根絶に関する共同声明を出すなど、 国際社会で活発な取り組みが進められている。国連をはじめとする国際社会から、日本に対して数多くの勧告もなされている。加えて、2014年の「ソチオリンピック」において、ロシア国内の性的指向への差別的対応に抗議して、欧州各国首脳が出席を見合わせた事態を踏まえ、日本は 2020 年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けて、性的指向・性自認に関する一層の取り組みが求められている。性的指向・性自認の人権状況に対する国際的関心は2014年以降着実に高まっており、仮に今回のような公人の発言が今後も繰り返される場合、国際社会への負の影響は甚大なものになるであろう。

国内においても、2017年1月1日に人事院は「性的指向若しくは性自認に関する偏見に基づく言動」(いわゆる「SOGIハラ」)を防止の対象とし、SOGIハラを懲戒も含めた厳正な措置の対象とした。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、経済団体、労働組合なども相次いで差別やハラスメントの禁止を掲げた方針等を発表しており、今回の発言はこのような流れに真っ向から反するものである。

第48回衆議院議員選挙における私たちの各政党に向けたアンケート調査では、自由民主党も含めたすべての回答政党が「LGBTに関する課題全般に人権問題として政府が取り組んでいくこと」について「人権問題として積極的な取り組みが必要だ」と答えている。同時に、何らかの法律の制定をめざす点でも各党の一致を見ていた。私たちはこうした回答に大きな期待を寄せるものだが、人格と尊厳を否定する発言には落胆を禁じえない。

今回のような 発言に対する抜本的な対応無きままに2020年を迎えることとなれば、性的指向や性自認によって社会的な偏見や差別を受ける当事者はもとより、日本に関わるすべての人に大きな不利益をもたらすこととなる。今回の発言が多くの人びとを傷つけ落胆させたことを指摘する一方、幅広くさまざまな人が声をあげたことに、私たちは大きな希望を見出だした。今後は、多くの人びとの声を受け止め、広く社会的な 再発防止に向けた対応を切望する。最も有効な再発防止策が1日も早い法制定であることは言うまでもない。より多くの人が性的指向と性自認をめぐる差別に関心を寄せ 、 差別の無い社会をめざすためにも、実効性ある差別禁止法の制定が必要である。

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