2025年6月3日
SOGIハラ対策の拡充・強化に向けた
国会の附帯決議について
一般社団法人 性的指向および性自認等により困難を抱えている
当事者等に対する法整備のための全国連合会
(略称:LGBT法連合会)
代表理事・理事一同
2025年6月3日、参議院厚生労働委員会は、ハラスメント対策の拡充を盛り込んだ、労働施策総合推進法等の一部改正案を可決した。近く本会議で可決成立される見込みである。法案の可決に併せて、5月16日の衆議院厚生労働委員会、本日の参議院厚生労働委員会それぞれにおいては、いわゆる「カミングアウト」の禁止や、強制・強要がパワーハラスメントに該当し得ること、性的指向・性自認に関するハラスメント(以下「SOGIハラ」という)がカスタマーハラスメントに該当し得ること、就活生に対するSOGIハラの防止が必要であることを、法に基づく指針に明記するとの附帯決議が可決された。この附帯決議によって、上記の各ハラスメントが各企業等の防止措置義務の範疇となる方向と当会は受け止め、大きな前進として評価する。
今回可決された労働施策総合推進法の一部改正案は、いわゆるカスタマーハラスメントについての措置義務を各企業等に課すことを新たに規定している。改正案や附帯決議を踏まえれば、今後、企業等のカミングアウトに関わる言動への規制が強化されるほか、職場の外との関係も対象に含めたより広範なSOGIハラ対策が各企業等に求められるものと解される。なお法の施行期日は、法の公布から1年半を超えない範囲とされている。
国会の法案審議では、当会の問題提起や働きかけに呼応し、与野党がSOGIハラ対策の強化について精力的に議論を行った。その結果が附帯決議に結実したと、当会は受けとめている。関係各位の尽力に深く敬意を表したい。
前回改正では、SOGIハラ対策が法制度に位置付けられたことにより、労災認定基準にSOGIハラが明記される、実際の認定事例が報じられる、裁判に波及するなど、広範な影響が見られた。今回改正が、社会におけるSOGIハラ対策のうねりを巻き起こし、当事者の人権尊重に向けた新たなスタートとなることを期待するものである。
LGBT法連合会は、SOGIハラの根絶に向け、今後も取り組みの強化に向けた働きかけや周知啓発を不断に進めていく。併せて、性的指向・性自認による差別的な職場異動や退職勧奨、解雇などハラスメント対策だけではカバーしきれない差別的取扱いへの対策の必要性を強調し、引き続き差別禁止法の制定を求めていく。
以上