2024年 10月 3日
不動産会社の「LGBT不可」記載について
一般社団法人 性的指向および性自認等により
困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連合会(略称:LGBT法連合会)
理事一同
(団体 URL:https://lgbtetc.jp/)
2024年10月2日、福岡市の不動産会社が、入居者の募集要件に「LGBT不可」という項目を掲げているケースがあると報じられた。このような表記を用いる商習慣が一般化しているとすれば、それは差別的取扱いそのものであり、強い遺憾の意を表明する。
当該の会社は、オーナーから「LGBTカップルの同居承認を得た物件」を「LGBT可」とし、オーナーが否定的なところや確認が取れていない物件を「LGBT不可」としていた可能性があると報じられている。
顧客への提供資料に「LGBT不可」と記載したことについて当該会社は「不適切で誤解を招く事態だった」とコメントしており、これらの対応が偏見や差別的な思想から生じたものではないと説明しているとのことである。
しかしながら、多くの偏見は、悪意や害意のない思い込みや先入観から生ずるものであり、そのような偏見に基づいて特定の集団に対して他とは異なる対応をとることは、まさに差別的取扱いである。性的指向や性自認によって住宅から排除することに合理的な理由があるとは考えられず、分類自体が、差別的取扱いそのものであることを強く指摘する。
背景として、同性カップル等の入居を断る家主が極めて多いことが根本的な要因であると認識している。ただ、本件の「LGBT不可」という表記からは、個人の性的指向と性自認を混同するとともに、同性愛者・両性愛者等やトランスジェンダーの単独の入居も拒むかのようにも解されるものであり、これは、運用面に誤解を招くばかりか、顧客に対する認識の欠如が表れた表記であるということを指摘する。
このような住居に関する差別的取扱いは性的マイノリティ当事者の間でよく聞かれ、住宅の確保に困難が生じている。人間の生活の基本となる「衣食住」の「住」について、平等な対応を実現するためにこそ、当会が創設以来取り組んでいる「SOGI差別禁止法」が不可欠であり、本件はその必要性を改めて浮き彫りにしたと言える。近く国の政策に関する活発な議論が行われると聞くが、既存の国土交通省のセーフティネット住宅制度の取り組みや業界団体の指導監督による取組の促進はもとより、抜本的な解決に向け、このような差別的取扱いを禁止する法制度に向けた前向きな議論と実現を強く期待するものである。当会は今後も「SOGI差別禁止法」の制定に向けて全力で取り組んでいく所存である。
以上