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【声明】「性的指向若しくは性自認に関する偏見に基づく言動」が 人事院規則10−10(セクシュアル・ハラスメントの防止等)に含まれたことについて

2017.01.19

お知らせ

2017年1月19日

「性的指向若しくは性自認に関する偏見に基づく言動」が
人事院規則10−10(セクシュアル・ハラスメントの防止等)に含まれたことについて

性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する法整備のための全国連連合会
(略称:LGBT法連合会)
共同代表一同
(団体URL:https://lgbtetc.jp/)

 今般、2016年12月1日に、国家公務員の人事や処遇などを取り扱う人事院が、人事院規則10−10(セクシュアル・ハラスメントの防止等の)運用についての一部改正について発出し、国家公務員におけるセクシュアル・ハラスメントに「性的指向若しくは性自認に関する偏見に基づく言動」が含まれることを明らかにしたとともに、第6条に基づく指針を改正し「性的指向や性自認をからかいやいじめの対象とすること」を例示された等が確認された。本改正は、LGBT法連合会が公表している「性的指向および性自認を理由とするわたしたちが社会で直面する困難のリスト(第2版)」を議論の参考の一つとしたという、自由民主党の「性的指向・性自認の多様なあり方を受容する社会を目指すための政府への要望」に基づくものであると受け止めており、積極的に評価するとともに、多くの当事者や支援者をはじめとする関係各位の尽力を讃えたい。

この改正により、「性的指向若しくは性自認に関する偏見に基づく言動」は、従来のセクシュアル・ハラスメントと同様に、⑴人事院は各省庁の長が防止の為に実施する措置に関する調整、指導及び助言に当たる、⑵各省庁の長は「性的指向若しくは性自認に関する偏見に基づく言動」について防止及び排除に必要な措置を講じる、⑶各職員自身が注意するとともに、職場の監督者が「性的指向若しくは性自認に関する偏見に基づく言動」の防止及び排除に努めるとともに、発生時には迅速かつ適切に対処する、⑷各省庁の長が防止に必要な研修を行う、⑸各省庁の長が「苦情相談への対応」を行う体制を設け相談員を配置する、等がそれぞれ実施されるものと受けとめている。
また、同規則の指針に基づき、酒席の場等の職場外においても注意が求められるとともに、行政サービスの相手方等の職員以外に対しても注意が求められること、またこのような言動が様態によっては懲戒処分となる場合があることも、従来のセクシュアル・ハラスメント防止措置と同様であると受けとめている。また、苦情相談に当たる職員を「同性」から「希望する性」に変更するなど、性自認に関して困難を有する当事者も視野に入れた対応となったことは特筆すべきである。

もっとも、民間企業・団体におけるセクシュアル・ハラスメント防止を定めた、男女雇用機会均等法に基づく指針の改正においては、未だ対応がなされていないことを憂慮する。私たちは、昨年5月に示された、この課題の民間分野における厚生労働省の改正案が、従来のセクシュアル・ハラスメントの域を超えない内容だったことから、2016年6月8日に「【ご協力のお願い】厚労省「セクハラ防止指針」改定案へのご意見」を発出し、広くパブリック・コメントの提出を呼びかけた。この呼びかけなどに呼応した多くの当事者、支援者の尽力により、他の案件の約十倍にのぼるパブリック・コメントが寄せられた。しかし、厚生労働省は原案通り指針を改正したため、同月27日に私たちは「セクシュアル・ハラスメント防止指針改正」に対する声明を発表した。このように、この課題を厳しく注視し、多くの当事者、支援者等と、施策実行を求める取り組みを進めてきた。

今回の国家公務員分野におけるセクシュアル・ハラスメントに関する改正を、上記のような経緯も踏まえた、多くの当事者や支援者による尽力の結果であると捉え、性的指向・性自認に関する差別をなくす貴重な一歩として喜びを分かちあいたい。一方で、民間企業・団体や地方自治体においては依然対応されていないことを憂慮し、速やかに対応を求めるものである。引き続き、同規則が実効的に職場で機能するかを注視するとともに、性的指向・性自認に関する様々な困難や差別が依然として解消されず、自死やアウティングなどに関する報道等も後を絶たないことから、1日も早くこうした差別をなくすための実効性ある法整備を求めるものである。

以上

人事院規則10―10(セクシュアル・ハラスメントの防止等)の運用について
人事院規則10-10新旧対照表

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