LGBT法連合会

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【声明】改正労働施策総合推進法の施行による 事業主の性的指向・性自認に関する取り組みの義務付けにあたって

2020.06.01

お知らせリリース

2020年6月1日

改正労働施策総合推進法の施行による
事業主の性的指向・性自認に関する取り組みの義務付けにあたって

 

性的指向および性自認等により困難を抱えている当事者等に対する
法整備のための全国連合会(略称:LGBT法連合会)
共同代表一同
(団体 URL:http://lgbtetc.jp/)

2020年6月、改正労働施策総合推進法が施行となり、法に基づく「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(以下「指針」という)により、性的指向・性自認に関するハラスメントや性的指向・性自認の望まぬ暴露であるいわゆる「アウティング」も含めた、パワーハラスメント防止措置が、大企業と地方自治体に義務付けられる。これに伴い、厚生労働省、総務省、文部科学省、人事院も、それぞれの関連の通知の発出や、人事院規則等の新設・改正を行なっており、日本全国のさまざまな分野で法に基づく取り組みが進むことなる。私たちはこの新たな法制度の施行を歓迎するとともに、措置義務履行の徹底を呼びかけたい。

指針に基づき、大企業や地方自治体には、ハラスメントの禁止方針や懲戒規定を策定するとともに、相談対応やプライバシー保護などが義務付けられる。厚生労働省が2020年2月10日出した通達によれば、性的指向・性自認に関するハラスメントは被害者の性的指向・性自認の如何を問わない、いわゆる「LGBT等」のみが被害者とは限らない旨を明示した。一方総務省は、2020年1月17日に、この新たな法制度が地方自治体にも適用される旨を都道府県等に通知した。地方自治体では、人事院規則10-10や10-16が直接適用されるとの誤解が広く見られるが、ハラスメント防止については、民間法制が直接適用される点は改めて周知徹底されるべきである。他方、文部科学省は、この総務省通知を踏まえ、2020年3月26日に各都道府県教育委員会等に通知を発出している。この中で、性的指向・性自認に関する侮辱的な言動や、いわゆる「アウティング」がパワーハラスメントに該当することを特記している点は評価できる。教育現場における対応は、教職員はもとより、子どもたちにとっての安心安全な学校現場を創出する上で欠かせないものであり、積極的な取り組みを期待する。

人事院は2020年4月1日に「人事院規則10-10の運用について」を改正し、「セクシュアル・ハラスメント」の例として、従来の性的指向・性自認に関するハラスメントに加え、いわゆる「アウティング」を新たに示した。ただ、2020年1月14日に出された、「公務職場におけるパワーハラスメント防止対策検討会報告」によれば、国家公務における性的指向・性自認に関するハラスメントは、セクシュアル・ハラスメント防止の枠組みで対応するとともに、パワーハラスメントとしても対応するとされており、現場で混乱のないよう求めたい。加えて、総務省が2020年4月21日に出した通知に記載のように、地方公務が人事院規則を参考とする場合には、前記の国家公務における性的指向・性自認の扱いと、民間の扱いの違いを十分に留意する必要がある。例えば、アウティングを起こさないための周知・啓発や、性的指向・性自認等がプライバシーに含まれることを踏まえた保護措置等は、人事院規則等には特記されていないが改正労働施策総合推進法にもとづく指針には明記されており、地方自治体においては履行が必要である。

一方、2020年5月に発表された「心理的負荷による精神障害の認定基準の改正について」では、「業務による心理的負荷評価表」に「パワーハラスメント」が追加されたものの、性的指向・性自認については具体的な文言が盛り込まれなかった。パワーハラスメントに含まれると解釈されるとしても、いわゆる「アウティング」は、他のパワーハラスメントとは異なる構造で被害を受けるものであり、懸念が残る。既に報道されている事件等の労災制度の運用状況も注視しつつ、改善を求めていく。

立法府における超党派の貴重な取り組みや労使の議論を経て、初めて性的指向・性自認に関連する義務を伴うこととなったハラスメント防止法制について、今後私たちは、この歴史的一歩を活かすべく、全国の一人ひとりの当事者の生活圏に、制度を定着させるための新たな取り組みが求められる。性的指向・性自認に関する差別や偏見による困難の解消に向けた、支援者一人ひとりの日々の取り組みが試される局面を迎えるとも言えるであろう。この新たな局面を迎え、かつ新型コロナウイルスの感染拡大によって、アウティングをはじめとするハラスメント被害が起こりやすい状況下において、私たちは全国の賛同団体間の一層の連携を促進するとともに、企業や経済団体、労働団体と連携しながら、職場環境の改善に取り組んでいく。加えて、性的指向・性自認に関する事柄が、差別や偏見の対象とならない抜本的な環境改善に向け、差別禁止法制定の必要性を改めて強調する。

以上

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